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「Bウイルス感染症」対応マニュアル


公私立大学実験動物施設協議会
感染症対策委員会
平成13年3月31日


1、一般的留意事項

1)施設管理者はBウイルス感染症に関する情報の収集に努めるとともに、サルの飼育者および実験者にBウイルス感染症情報の提供を行ない、一層の啓蒙と教育に努めること。
2)感染症発生に対応できる組織(安全管理委員会またはそれに準ずる組織)を事前に設置すること。
3)感染症発生時における健康診断体制を事前に構築しておくこと。

2、サル導入時の留意事項

1)新たに導入するサルの一般的健康状態を把握しておくこと。
2)新たに導入するサルはBウイルス抗体が陰性であることが望ましいが、導入時に各個体のBウイルス抗体の有無を確認しておくこと。

3、サルの検疫、飼育、実験に関する留意事項

1)Bウイルス以外の人獣共通感染症(結核、赤痢など)に対する検疫も実施することが望ましい。
2)サルは個別ケージ、可能であれば挟体付きケージに収容し、逃亡防止に努めること。
3)サル飼育室では専用マスク・実験衣・手袋・履物等を使用し、関係者以外の立ち入りを制限すること。
4)飼育器材の消毒及び洗浄を定期的に行なうこと(推奨する消毒薬:次亜塩素酸ナトリウム等)。
5)サルを取り扱う際には原則として適正な麻酔を実施し、咬傷、ひっかき事故の防止に努めること。
6)実験使用後の機器、資材の消毒、滅菌を行なうこと。
7)サル由来の組織、血液等は特に慎重に取扱うこと。
8)救急箱を常備すること。
(注)免疫抑制実験、レトロウイルス感染実験、あるいはストレス付与実験等によりBウイルスの活性化を招く恐れのある実験を行う時は、特に上記に留意すること。

4、Bウイルス抗体検査機関

現在、国内でBウイルス抗体検査が可能な機関は予防衛生協会だけである。

予防衛生協会
 〒305‐0843 茨城県つくば市八幡台1
 TEL 0298‐37‐2121
 Fax 0298‐37‐2299

5、Bウイルス抗体陽性サルへの対応

1)Bウイルス保有サルとして取り扱い、可能な限り抗体陰性サルとは隔離して飼育し、特に健康状態に 注意を払うこと。
2)ヒトへの感染源として、サルの血液、組織、体液、糞便等が報告されているので、特に注意して取り 扱うこと。
3)免疫抑制などを伴う実験は可能な限り実施しないこと。
4)Bウイルスの活動性病変の出現が疑われる場合には、安楽死等を勘案すること。

6、実験者あるいは飼育者にBウイルス感染の疑いが生じた場合の措置

1)速やかに医師の診断を受けるとともに、施設管理者に報告する。
2)施設管理者は、事態の総合的、客観的な把握を行ない、安全管理委員会などと万一の事態に備えた協議を行なう。

7、実験者あるいは飼育者のBウイルス感染が確定した場合の措置

1)公私動協感染症対策委員会および会長に報告し、対応を協議する。
2)学内の安全管理委員会などと対応を協議する。

8、報告および通報

1)Bウイルス感染者が発生した場合は、感染者に関する事項を速やかに文部科学省研究振興局学術機関課に電話報告する。
2)新聞発表等を行う場合は、学術機関課と連絡を密にすること。

◎参考資料

1、大学等における実験動物の取扱いに関する安全管理の徹底について (通知)
  (平成9年5月23日 9学情第18号)
2、Bウイルス関係参考資料 (第22回国立大学動物実験施設協議会総会におけるバイオハザード対策小委員会配布資料、平成8年5月9日)
3、Bウイルスに接触し感染するかもしれないヒトのための予防法と治療法のガイドライン、オベリスク増刊号1997
4、Guidelines for the Prevention and Treatment of B-virus infections in Exposed Persons; Clin. Inf. Dis., 20: 421-439,1995
5、大阪大学医学部"霊長類の飼育と使用に関するガイドライン
6、CDC, NIH 微生物学・医学実験室のバイオセーフティー
  (倉田毅訳、医学書院 1996年)
7、バイオハザード対策ハンドブック 
  (大谷 明、内田久雄、北村 敬、山内一也編集: 近代出版、1981年)
8、微生物によるバイオハザードとその対策 (岩田和夫編集: ソフトサイエンス社、1980年)
9、山内一也:人獣共通感染症 第2回Bウイルス感染1995
10、実験動物感染病の対応マニュアル
  (前島一淑 監修:アドスリー、2000年)